« Courage ! », t.III, pp.92-99.
「勇気だ,勇気をだせ!」は臨海学校でニコラの入ったチーム「ヤマネコの眼」の合言葉.そうだ,「勇気だ!勇気をだすんだ!」勇気,出てきましたね.でも相手がニコラたちですからね.そんな決意もいつまで続くんでしょうか.特にお世話役の人たちの勇気は.
今回は5枚のイラストがついていますが,序文についたイラストは前話(44)の,駅でのパパ,ママンたちのお見送りの図からの抜粋です.右側のちょうど真ん中あたりの,誰かのパパ.駅のベンチに立って勢いよくハンケチを降っていますが,奥さんが袖を引いて嗜めています.やりすぎですよ.題字の上のイラストも(44)で出てきた寝ている二人の図.あれだけ騒々しい列車の中でよく寝られますね.大器だ.3枚目の大判がオリジナルで,4,5枚目はこの3枚目からの抜粋です.というわけで,1枚だけ.少し寂しい.
ニコラを乗せた列車はゆくりと駅を離れ,パパとママンは小さくなってしまいました.それでニコラもちょっと感傷的になっているようですが,「勇気だ,勇気をだせ!」の掛け声で,「持ち前の元気を取り戻す」ようです.
列車の中,ニコラたちはよく眠れなかったようです.これはでもまぁ想定内の出来事でしょう.泣き叫ぶ奴がイタリ,ケンカが始まったり,ラスクをバリバリ音を立てて食べたり,車内を移動しようと閉じ込められた子が泣いたりわめいたり.ニコラたちの班の班長さんであるジェラール・レストゥーフ君(Gérard Lestouffe*)(もしかしたら「レトゥーフ」君かも?)はそれでも我慢強く面倒を見てくれています.一晩中列車の中を行ったり来たりしていたようですがね.
*LestouffeはIl fait tout.「何でもやるよ.」からできてるんですかね?
列車が「プラージュ-レ-トゥルー」駅に到着し,そこからはバスに乗り換え.バスの中でも大騒ぎ.歌でも歌わせてと策をめぐらせたレストゥーフ君ですが,あえなく撃沈.ようやくキャンプ場に到着です.キャンプ場の支配人と経理係が迎えてくれて,さぁ,いよいよキャンプの始まり・・・とはならないのが『プチ・ニコラ』ですね.
ニコラたちのチームは12人で1つの小屋.中に入って,レストゥーフ君が各人ベッドを決めて水着をつけて8分後に外に集合!と言って出て行ってしまいますが,それはあまりにもニコラたちを,もしくはこのお話を知らなさすぎるというもの.もちろん,ニコラたちは何一つ決められず,水着もつけず,外に集合もできません.それなりの理由はあるのですが.
レストゥーフ君が戻ってくると,「全部の小屋を集めても負けず劣らずの大きな声」が聞こえています.そこからはひたすら陳情の嵐.もうレストゥーフ君にひたすら同情してしまいます.それでようやく外の集合場所に出てくると・・・
「僕らのリーダーだけが水着をつけていなかったんだ.上着にネクタイ,ちゃんと服を着てたんだ.それもスーツケースまで持っていて.」(p.99)
可哀そうなレストゥーフ君.乗車前と列車の中,バスの移動中に小屋の中と耐えに耐えていたんでしょうね.それでキャンプ場の支配人さん.何とか勇気づけようとします.
「初心に帰るんだ.君ならきっと,もう一度あの子らを手なづけられるさ.「勇気だ,勇気をだせ!」(p.99)
というわけで,合言葉は誰のもの?
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