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執筆者の写真Yasushi Noro

『プチ・ニコラ』(40)

« Le golf miniature », t.III, pp.48-55.

このお話には4枚のイラストがついていますが,そのうち新しいイラストは2枚だけです.最初は例によって序文がわりの説明の上に置かれています.


海水浴を楽しむニコラの手を引いて反対側を指差しているパパの図?でも,この絵は序文とも本文ともあまり関係がないようです.きっと他のお話に付された絵からの抜粋ではないでしょうか.判明したら,いつか書き直します.

 ヴァカンスは続き,ホテルにもみんな満足.ニコラのパパだけは毎夕食に出てくる煮込み料理に不満があるようですが,それはともかく甘美で楽しいヴァカンス.体操の先生がいなくなってしまい,ニコラたちはエネルギーを持て余し,それで今回はミニ・ゴルフに連れて行ってもらうことに.

 「ミニ・ゴルフ」というお話に付されているのは実質大判1枚だけで,あとはこの絵からの抜粋です.


 何か,この絵だけでお話の内容が想像できそう.ニコラがヴァカンスで知り合った仲間と

ミニ・ゴルフに行き,第1ホールから進まず,他の人が待たされ苛立つの図,ですよね.

 『プチ・ニコラ』のいつもの犠牲者,それはパパ.優雅でのんびりとした有意義な時間を過ごそうと,体操の先生に子どもたちを押し付けようとした大人たちの画策は見事失敗に終わり元の木阿弥.今回は近くにあるミニ・ゴルフへ連れてゆけと子どもたちが騒ぎ始めます.最初は無視していたパパも請い願い泣きわめく子どもと,ペダロ(足漕ぎボート)に乗って遠くへ行ってしまうぞと脅すニコラと,日光浴をしている周りで議論を始めた子どもたちに,ついに根負け.


「ぼくらはみんな,パパのまわりに集まってああでもないこうでもないと騒いでいたら,パパは読んでいた新聞をもみくちゃにして,地面の砂に叩きつけて言ったんだ.

 もういい,わかったわかった.ミニ・ゴルフに連れて行ってやろう.」(p.50)


 しかしいつものニコラたちのこと.誰が初めに打つとか,順番はどうするとか・・・で散々揉めた末に,パパが鶴の一声.「マメールから始めよう.一番お利口にしているからな.」(«C'est Mamert qui va commencer, parce que c'est le plus sage, a dit papa. »)ここでニコラがいつもマメールにつけている紹介=枕詞を想い出すと・・・「マメール,こいつはなんておバカなんだ」(« Mamert, qu'il est bête celui-là !»)なのですがね.

 それはともかく,またもやパパの失敗で,マメールのボールはフェンスを超えて遠くの車の車体を傷つけてしまいます.それでパパがボールを取りにゆき謝る羽目に.待っている子どもたちはもちろん第1ホールから動けず動かず,ミニ・ゴルフの支配人は怒るし,子どもたちは騒いで,子どもたちの後ろで待っている人々はイライラし始め,警官がきてホイッスルを鳴らす.いつものように,もう事態は収拾できません.でもそんな状況を楽しめるのがニコラたちのいいところ.


「ミニ・ゴルフ場は,すっごく楽しかったから,明日は第2ホールから続きをやろうと決めたんだ.でもね,パパがぼくらの付き添いでミニ・ゴルフまで来てくれるか,ぼくにはわからないんだけどね.」(p.55)


 パパ,寝込んでいるか,はたまた寝ているフリしますよね.きっと.


 

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