« Le défilé », t.II, pp.94-100.
今回は少し寂しい.だって大判の絵が1枚だけだから.話は相変わらず面白いですけどね.
題名の上の絵は本ブログ『プチ・ニコラ』(25)(「休み時間に僕ら,ケンカする」.原文, p.49)に出てきたもので,3枚目と4枚目は2枚目の一部なので,↓一枚だけ.やはり少し哀しい.でも,よくよく眺めて味わうことにしましょう.
背後に見えるレンガ造りの3階建て建物はニコラたちの学校です.2階3階の窓からは,見慣れた教室の風景が描かれています.おっと,今年の1年生はほとんどオンライン授業でしたから,未だ見慣れていないかもしれませんが,ともかく,黒板があって,机があって,長椅子があって,地球儀があって・・・と,いわばかつてのフランスならどこにでもあった学校を思わせる絵でしょう.その前を子どもたちが行列を作り左から右へ進んでいます.先頭には,黒づくめの服の大人が一人.大きな口を開けているところを見ると,どうやら子どもたちに指示を出し,従えている様子.子どもたち,もちろんニコラたちは8人1列で,3列にきれいに並んで後についています.まるで軍隊の整列を見ているようです.先頭の軍曹を真似て,手も足も揃えて・・・といいたいところですが,右手が前で右足が後ろ,左手が後ろで左足が前というようにキレイにとは行かないのが,ニコラたちらしいところです.そしてもちろん,隊を見出す最後尾のウードとメクサン.二人は背の高さを巡ってケンカをはじめました.
あぁ,軍隊式分体行列!それでタイトルも「行列」.校長先生が来て,ニコラたちの学校が,銅像の開幕式で行列し,花束を置く「大変な名誉」に与ると告げるのですが・・・.もう,『プチ・ニコラ』の読者ならお分かりでしょう?ニコラたちのクラスは,いつものように,そんなことできないんですって.
行列の先頭はル・ブイヨン,ニコラたちの学校の生徒監(見張り役)で,行列の指導を任され大いに張り切って「指導の終わりには,子どもたちは別人のようになっとりますよ」(p.95)なんておっしゃるのですが,それは校長先生も半信半疑.「それが本当なら・・・はぁ・・・」と言って,「大きくため息をついて」(p.95),去ってゆきます.「それが本当なら・・・」,ね.
ですから,このお話の挿絵はその訓練中なのです.でも訓練の終わりには・・・.かつては「狙撃隊の曹長」まで勤めたル・ブイヨンさんをして,「この子らに比べれば」「狙撃兵だって,子どもの合唱隊のようにかわいいもんですわ!」と言わしめたニコラたちは,結局行列どころか参列すらできず「兵隊さんたちの後ろの階段席に座って」見学することに.それにル・ブイヨンさんまで,アルデーシュのご家族のもとで2週間の休養,参列できませんでした.あぁ,大変な名誉だったはずなんですが.
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