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執筆者の写真Yasushi Noro

『プチ・ニコラ』(28)-1

« Le football », t.II, pp.66-73(pp.66-86).


 今回は「サッカー」のお話.これまでのパターンからすると,僕がキーパー,いやキーパーは僕だ・・・なんて具合にサッカーができない話となりそうなんですが,今回は(ほとんど)ちゃんとサッカーをする話なんです.

 1枚目の題字の上の絵は「休み時間に僕ら,ケンカする」で出てきた絵の抜粋なので(p.45),今回とは関係なし.マフラー巻いて,サッカーをするという格好でもなさそうですし.

 まずはニコラの「友だち」が勢揃い.ウード,ジョフロワ,アルセスト,アニャン,リュフュス,クロテール,メクサン,そしてジョアシャン.仲間外れなし.ちゃんとアニャンも入っているのが良いですね.そしていつもの「空き地」に大集合.めずらしく言い争いもなく,それぞれのポジションが決まります.適材適所,それぞれにちゃんと理由があるようですが.そこへ他所の学校の子どもたちがやってきて,ここで言い争いがあり一発触発状態.そこへニコラのパパが登場.両者をうまくなだめて,次の日曜日にサッカーで決着をつけることになります.パパ,お見事!・・・だったのですが,それからパパのいつものウンチクと自慢話が始まり(いつもの,「結婚していなければ,国際試合の選手になっていたのに」という,おそらくは大ウソです),コーチに就任してしまいます.また,やらかすんでしょうねぇ.というわけで,まずは3枚目がそんな自慢をする場面でしょう.


 パパを見上げる子どもたちの尊敬のまなざし,自慢話に出てくる颯爽とした選手姿のパパ,そして空き缶転がる近所の(しょぼい?)空き地.コーチする気満々なパパは上着を脱いでいるところです.絶妙な絵ですね.

 それからはパパの猛特訓が始まります.「パパはボールをとり,アルセストに向かってシュート.次にアルセストと入れ替わりゴールキーパーになった.それで.アルセストがパパにシュート.」(p.72)ここの部分,原文では「ゴール」を意味するbutという単語とアルセストの名前が3回も出てきて,とてもリズミカルに書かれています.(« Il a pris le ballon et il a mis un but à Alceste. Et puis il s'est mis dans les buts à la place d'Alceste, et c'est Alceste qui lui a mis un but. »)

 2枚目と3枚目も大判で,パパの特訓の様子が描かれています.





 そこへママンがやってきて,ニコラを呼びに来たパパが遊んでいて帰ってこないからお夕食が冷めてしまった(ミイラとりがミイラになった!)とパパは叱られます.上の3枚目の左奥に様子を見に来たママンの姿が見えます.パパの方に一様に顔を向けたニコラたちの足並みも揃っていて,やっぱり絵もリズミカル.右奥には,口をもぐもぐさせながらも,なんと!アルセストまで走っています.アルセストは当初,「走るのがイヤだから,ゴールキーパーならやっても良いよ,と条件付きでボールを貸してくれた」はずなんですが.そんなアルセストまでノリノリにさせるとは,やっぱりパパお見事!


 さて,このお話は他のお話に比べてだいぶ長いので,次回は続きを読見ましょう.実はこのお話自体,ここまでが前置き(=選手の入場)で,それから次の日曜日の試合は「前半」,「後半」に分けられています.さながら,サッカーの試合のように.


 (それにしても,あまりサッカーを知らない私はフランス語のサッカー用語を調べるのにだいぶ時間がかかってしまいました.でも,やっぱり『ニコラ』は面白い.)


 

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