« Mes vacances de Pâques »(la fin).
前回までのエピソード
1)復活祭の説明
2)メメの家で過ごす計画に関する,パパとママンの対立
3)車で立ち寄るレストランの話
4)パパが大事にしている,レストランのガイド・ブックの話
5)いざ出発!をお隣のブレデュールさんに知らせに行く場面
6)車中でのパパとママンの対立
7)渋滞を避けようとしたパパの失敗
8)ようやくレストランに到着
9)メメの家に到着
10)復活祭の卵探しについて
11)メメの家で,パパがこき使われること
12)ニコラがお腹を壊し,パパが怪我をすること
13)メメとパパの静かな対立
14)パパが昼寝さえさせてもらえないこと
15)パパが予定を繰り上げて,1日早く帰宅することにする
16)メメの僻み
最終エピソード
17)帰ろうとしたら,車が故障していたこと
18)車の修理ができず,電車で帰ることにした
19)パパは来週末,メメの家に車を車を取りにいかなくてはならない
(211)1話だけで,何と7回も使ってしまいました.こんなこと,第2巻の「サッカー」以来なんですが,その「サッカー」は全部で21頁(« Le football », t.II, pp.66-86).今回は15頁.判型(本の形)が異なるので,ページ数の比較は無意味ですが,それにしても「サッカー」は3回で紹介できたのに,今回は7回.長い〜.でも仕方なかったんです.だって,ほとんど一段落ごとにオチがあって,それを全部飛ばして,全体の物語と締め括りだけ見ても,面白くも何ともないのですから.
というわけで,さぁ,行きましょうか.
17)帰ろうとしたら,車が故障していたこと
メメに思いっきりこき使われたパパは,メメが一番嫌がることをよく知っていて,復讐にでました.メメを悲しませる1番の方法,それは溺愛しているニコラを取り上げること.そこで予定を繰り上げて,帰宅することになりました.
しかしここぞというところで失敗するのがパパ.いざ出〜発,というところで,「車が出発したがらない.」(et puis l'auto n'a pas voulu partir.)
メメは目に大量の涙を浮かべて,僕をぎゅっと抱きしめたんだ.可哀想なメメ.メメはそれからママンを抱きしめ,パパには手を差し出した.でもね,そこから車が出発したがらない.(p.363)
自動車が主語なのに「〜したがらない」なんて,人みたいな扱いは変なのですが,まるでメメの呪いがかかっているみたいでしょ?パパの言うことなんて,聞きたくない,みたいな.
パパは何度もハンドルにパンチしたんだ.だけど,ダメ.どうにもならない.それで近くに修理工場がないかメメに聞くと,メメは場所を教えてあげた.村の反対側だったんだけど,パパは行ってみるって.(id.)
パパ,ついてません.まさかメメが呪いをかけたり,何か仕掛けをしたはずもないのですが,でも,修理工場の場所くらいは偽情報を与えたかもしれません.わざと遠くの,ね.でもそれは,メメか神のみぞ知ること.車が壊れたんですから,パパは「村の反対側」まで「行ってみる」っていったって,歩いてゆくんです.あぁ,もう早速,復讐されている感じ.
18)車の修理ができず,電車で帰ることにした
修理工場までニコラがついて行きたがりますが,パパの剣幕か雰囲気を察したママンに止められます.それでパパが一人で行くのですが,「ずいぶん待ったよ」(p.364)だそうです.そりゃそうでしょう.何せ「村の反対側」なんですから.徒歩なんですから.
それでもパパは「汚れたズボンを履き,木靴をひっかけたおじさん」と一緒に戻ってきます.おじさん,「麦わらを噛み噛み」ついてきたそうです.やる気ねー.それもそのはず.パパの説明によると,「修理工場はお休みだったのに,わざわざ来てくださった」んです.そりゃそうでしょ.だって「復活祭のヴァカンス」なんですから.みんな,家族とゆっくりお休みする時なんですから.ここ使われたパパ以外は.
おじさんは車のモーターを診て,すぐに原因がわかったそうです.「おおよ,俺の思ってた通りだぜ.」(p.364)パパは,それじゃすぐに直してください,と相変わらず低姿勢でお願いしますが,「そりゃ無理だ」.なぜなら部品がなくて,代理店に発注しないといけないから.パパも食い下がります.「それじゃ,明日の朝にでも・・・」(id.)するとおじさん,「復活祭の月曜日にかい?」(id.)パパが忘れていた事実,或いは想い出したくなかった事実を突きつけられます.結論としては,おじさんが部品を入手するのが水曜か木曜.その後来週末までに修理してくださるそうです.そう言っておじさんは颯爽と去ってゆきました.
衝撃の冷めやらぬうちに,メメがまるで予想していたかの如く,午後3時発の電車があることを告げます.もちろん,翌日に決まってます.しかも,お隣さんの「ブグリュさん」(変な名前!)がトラックで駅まで送ってくれるそうです.ニコラは少しでも長くメメのところに居れるので大喜び.それをみたママンがパパに気を遣い,「ちょっとちょっと,と僕を呼んで,「パパは少しイライラしてるから,パパに優しくね」だって.パパの野望,潰えたり.それも簡単に.
翌朝,パパは鶏小屋の掃除をし,道具小屋のペンキ塗りをします.帰れないわ,仕事はやらされるわで,踏んだり蹴ったり.それどころか,もうやけくそかも.
予定通りブグリュさんがトラックで駅まで送ってくれるのですが,何せ家畜運搬用.「あんまりいい匂いじゃなかったな.」(p.365)
電車は大混雑.ママンはようやく空席を見つけて,ニコラを膝に乗せて座りますが,パパは通路で立ちっぱなし.「でも,パパは通路にいるのが好きなんだよ.だってタバコが吸えるからね.」(id.)そりゃそうなんでしょうが,確か,メメの家,だいぶ遠かったんですよね,行きの道のりからすると.その間,混雑していて,ずっと立ちっぱなしなんですから,「好き」とばかりも言っていられません.でも,ニコラにはそう見える.何せ,KYですから.悲しみと虚しさを通り越して,哀愁漂うパパの姿が目に浮かぶようです.3時発だから,夕日をバックに,さぞ決まっていたことでしょう.
19)パパは来週末,メメの家に車を車を取りにいかなくてはならない
いよいよオーラス.最後のオチです.車を置いてきたのですから,また取りにゆかねばなりません.それも電車で.
僕たち,夜中のすっごい遅い時間に家に着いたんだ.すっごくホッとしたよ.でも,ラッキーなのは,なんてったって,そりゃパパだよ.だって,パパは来週土曜日に,メメの家にまた戻らなきゃいけないんだからね.自動車をとりにさ.さらにもうちょっと休息できるからさ,パパにはいいことだよ.だってさ,帰りがけにね,ママンと僕にはパパが少し疲れているように見えたから.(p.365)
やっぱり何も理解してなかったんだ・・・という,いつものKYぶり.それともわざと言ってる?みたいな.もちろん,パパにしてみれば「ラッキー」どころか,来週末もまたもやメメと会わなきゃならないなんて,苦痛でしかない.それにきっと,パパの顔をみれば,絶対に仕事をさせるに決まってる.それから一人で長い道のりを帰ってこなきゃならない.先を思うと,もうすでに,今から来週の疲れが出ているみたい.
でもニコラはメメに甘やかされ,大好物のチョコレートをたらふく食べて,お昼寝して,ヴァカンスを満喫しました.だから,上の文に続いてすぐに,
とにもかくにも,すっごく楽しい復活祭のヴァカンスだったよ.これを読んでいるみなさんも,楽しいヴァカンスを過ごしてくださ〜い!良い復活祭を!(id.)
だって.
と言うわけで,このお話はきっと復活祭のヴァカンス中か直前に掲載されたのでしょう.
ヴァカンスは待ち遠しいもの.ゆっくり休んで,家族と楽しく過ごすもの.そんなフランス人が楽しみにしている年中行事を,ほんのちょっと斜め上から,皮肉混じりに描き出した楽しいお話でした.パパには悪いですが.
それにしても,ちょっと小ネタが多すぎて,息切れしそうでしたが.
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