« Alceste a été renvoyé », t.II : Les Récrés du Petit Nicolas, Gallimard, pp.5-11.
このお話から原作原本文庫版第2巻に入ります.
「アルセストの放校」なんてドキッとするような題名の上に1枚目の喧嘩している絵があったら,ニコラの親友であるアルセストがケンカして学校を退学したの?なんて一瞬思ってしまいますが,アルセストといえば食べ物ですから,ケンカの原因もそれに違いありません.さて如何に?
毎日,午前中の2度目の休み時間に「一番大きなタルチーヌ」を食べることが習慣のアルセスト.ニコラによると,休み時間にサッカーをしないのは,ジョフロワ(今日はお休み),アニャン(予習に余念がありません),そしてタルチーヌを食べるアルセストです.ジョフロワは今日だけのようですが.
いつものようにアルセストがタルチーヌを頬張っていると,ボールが当たってタルチーヌを落とす.アルセストが真っ赤になって怒る.そこへ生徒監(見張り役)のル・ブイヨンさん登場.タルチーヌを踏んづけて足を滑らせる.日本だったら,バナナでよくあるあれです.それで靴にタルチーヌのジャムがべったりつく.アルセスト,怒り心頭に達する.で,
「チクショー!あぁ,もぅ!足の置き場に気をつけられねーのか?まったく,冗談じゃないぜ!!!」(p.8)
これを聞いたル・ブイヨンさんは怒ったのなんの.それでもう一度言ってみなさいというと.
「チクショー!あぁ,もぅ!俺のタルチーヌを踏んづけるなんてとんでもないぜ!!!と言ったんだよ!」と叫ぶアルセスト(p.8)
もうダメです.ル・ブイヨンさんはアルセストを校長室に連れて行ってしまいました.
休み時間が終わり,教室でニコラも,ニコラたちの美人の先生も心配していると,校長先生とル・ブイヨンさんとアルセストが入ってきて,アルセストが放校になったことが告げられます.2枚目です.
荷物を持って泣きながら出てゆくアルセスト.教室中,みんなが目を丸くして驚いています.多分右端のアニャンらしき子を除いて・・・.
午前の授業が終わって,みな一回家に食事に帰ります.この頃のフランスの習慣です.ニコラたちが学校を出たところで,アルセストに会います.寂しそうに独り,ニコラたちを待っていたのです.思わずもらい泣きしそうな場面ですが,アルセストの手には小さなパン・オー・ショコラが.涙取り消し.それに,どうやらみんなを待っていたというよりは,昼食の時間を待っていたというのが本当のところのようです.きっと,昼食前に放校のことを話してしまえば,デザート抜きになるからです.ちゃっかりしていますが,それでもやはり可哀想なアルセスト.
午後にお母さんに手を引かれてアルセストが戻ってきます.それで復学.終わり良ければ全てよし.よかったよかった.とは,ならないところが『プチ・ニコラ』.
アルセストが休み時間に,チーズ入りサンドウィッチを食べているところへ,またもやル・ブイヨンさんがきて,メクサンの腕を掴むと,メクサンはアルセストにぶつかって・・・
「チクショー!あぁ,もぅ!信じられねーぜ.またあんたかい?まったく,冗談じゃないぜ!懲りないなぁ!!!」(p.11)
というわけで,またもや悪口雑言の繰り返し.まったく「懲りない」人ですねぇ・・・.
(お話の最後に添えられた3枚目は2枚目のアルセストの抜粋でした)
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