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執筆者の写真Yasushi Noro

『プチ・ニコラ』(16)

更新日:2020年9月22日

« On a bien rigolé », t.I, pp.126-132.


 本話を読み終わった後では,この,「僕ら,すっごく楽しかったんだ」という題名の文が何やらむなしくひびきます.アルセストとニコラが二人きりで学校をサボるお話.どうやら「すっごく楽しかった」とはいかなかったようです.

 学校をサボろうというアルセストの誘いに,ニコラはまずは,<36の>理由を挙げて反対しますが,「午後は算数の授業」の言葉が発せられたとたん,二人は示し合わせて学校とは反対方向へ走り始めます.


 いつものように何か食べているアルセスト.歩調は揃い,二人はウキウキ楽しげです.でも,ショーウィンドーをみたりしてもどうも落ち着きません.それで「算数の計算をしている」級友たちを思い浮かべて,「僕ら二人で大笑い」(題名と同じフランス語文)したりするのですが,やはり気が晴れず,うまい暇つぶしも思いつきません.いつもの空き地に行くのですが,そこでもやっぱり話は学校のこと.あぁ,みんなどうしてる頃かなぁ・・・


 そのうち,パパとお隣のブレデュールさんのように,アルセストとニコラはケンカをします.そこへ雨が降ってきて,二人ともずぶ濡れ.1枚目のはしゃいでいた二人と対照的な,詫びしい絵です.寒そう.悲しそう・・・


 それで,学校の終わる時間に合わせて帰ったので,学校をサボったことはママンにはバレませんでした.心配したママンは明日は休んでも良いわよ,なんて言うのですが,一日サボってつまらなかったニコラは絶対に行く!と主張します.

 

 「明日,アルセストと僕がどれだけ楽しんだか学校の友だちに話したら,すっごく羨ましがるだろうね.」(p.132)


 負け惜しみなのか,今日の辛い思いをもう忘れてしまったのか,それはともかく,学校をサボるとどうなるか,心の内を明かした,いえ,正確には心のうちをイラスト担当のサンぺが想像したら,最後4枚目の絵になりそうです.


 (ニコラの夢の中)

「学校をサボったやつを見つけ出すんだ!」(右上:ニコラの家を捜索する刑事と番犬ならぬ番獅子)

「学校をサボったのはこの子だ!」(左上:ギロチン死刑の図)

逃げても逃げても追っ手に狙われている図(右下:ルドンの版画みたい)

「牢屋へ!」(左下:判決は下された!泣き崩れるママン)

悪夢にうなされるニコラ(かわいそー)


 






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