« Signes de piste », HIPN, vol.1, pp.464-471.
「追跡の目印」が題名の意味.ある日リュフュスがボーイスカウトをやっている従兄弟のニケーズ(変な名前!)から「アメリカ・インディアン」直伝の「究極の遊び」を教わったとのこと.ジョフロワは「直伝?」と聞き返しますが,リュフュスは「そうとも」と,かなり得意気な様子.ほんまかいな?そのうちの一つが,「捕虜を助けに行く時に目印を追跡する」方法というのがありました.今回の遊びの目玉はこれです.リュフュスによれば,これはチョー役に立つらしく,「敵と戦う際に,捕虜となって連れていかれたやつが,仲間に目印を残しておくんだ.それで仲間が敵に気づかれずに,敵地につける.それで仲間の捕虜を助けだっすって寸法だ!」(p.464)なるほど,役立ちそうです.が,敵に捕まって捕虜になる予定があるんでしょうか・・・.それはともかく,いつもの空き地ではなく,もっと広くて捕虜がすぐに見つからない場所ということで,公園でごっこをする提案をします.「それに,空き地でアメリカ・インディアンが追跡するなんて,みたことあるか〜?」と,まぁ,ちゃんとした理由もありました.それなら「公園」でならみたことあるのかってツッコみたくなりましたが,そこはジョアキムが即座に同じツッコミをしてくれました(p.465).
「それじゃあ」と,リュフュスが言った.「アメリカ・インディアンみたいな追跡技術を知りたいやつは明日のお昼過ぎに公園に集合.そうでないやつは,また今度ってな.」(id.)
あっ!ごまかした・・・.
それはともかく,翌日は全員が公園に集合しました.リュフュスの説明では,リュフュスが捕虜になり,敵に連れ去られながら,追跡の目印をつける.ちなみに敵もリュフュス.それで残りのメンバーは敵に見つからないように,アメリカ・インディアンのように腹這いになって,目印を追うんだそうです.あれあれ,大変ですなぁ.目印は小石.『ヘンゼルとグレーテル』的なあれですな.
リュフュスは隠れるのですが,残されたメンバーでいつものリーダー争いが始まります.そこへ管理人(gardien)のおじさんがピーピー,何度もピーピー,ホイッスルを吹きながら駆けつけてきます.
これが何故かイラストの2/2で,順序が逆です.ページの都合ですかね.
大きな木の向こうで管理人のおじさんが,見慣れぬ子どもたちの方を横目でチラチラみています.噴水の周りではニコラたちが喧喧ガクガク言い争いを始めています.それにしてもフランスの公園はいいですね.私はこの風景で,パリのリュクサンブール公園を想い出します.スチール製で緑のペンキを塗った,ちょっとずしっと重みのある椅子がデタラメに置いてあって,自由に移動できるんですね.二人でいれば向かい合わせもよし,グループなら人数分引きよせて,みんなで食事もできるし.臨機応変.固定椅子でないのがいいんです.雨が降ったり,埃で汚れていたら,別にティッシュか何かでさっと拭いて座ればいいんだし.好きです.こういう自由なの.
ところが乳母車に赤ちゃん乗せて,ニコラたちの近くに座って編み物をしていたご婦人が怒り出します.管理人さんのホイッスルで子どもが起きちゃったんですね.可哀想に.管理人さんはニコラたちに警棒を振り上げながら,ご婦人の方にいって謝ったようです.これが1/2なんです.
見開き2ページで一枚の大判は珍しい.すみません,せっかくなんですが,大きすぎてスキャンがうまくできないんです.泣き叫ぶ赤ちゃん,怒って早足のご婦人,謝りながら後ろから追う管理人のおじさん.ニコラたちはケンカをしたり,走り回ったり.でも,まだ誰も匍匐前進していません.ごっこはいつまでも始まりませんねぇ.
そうこうしているうちに,目印を巻き終わったリュフュスが帰ってきて,用意はできたと告げるのですが,「目印って何の?」(p.470)さすがクロテールです.リーダーなのに,ケンカに気を取られて,もう目印のこと,忘れちゃっていました.ほんとに,何のための目印なんだか.ようやく追跡が始まりますが,目印の一個も見つける前に,管理人のおじさんが戻ってきたので,ニコラたちは遊びの説明をします.そこへリュフュスが大きくピー!そういえばリュフュスのパパは警察官で,リュフュスはパパの真似をしてホイッスルを持ち歩いているんでした.なかなか見つけにこないのでリュフュスは怒っています.でも,こっちで怒っているのはご婦人.むしろ同情します.3人目の怒っている人は管理人のおじさん.ニコラたちも結局公園から追い出されてしまいました.でも,ジョアキムの提案で,空き地で空き缶サッカーをすることになったので,それはそれでよし.
オチはもちろん,可哀想なリュフュスです.
リュフュスはというと,公園の木の上に隠れていたんだ.それで管理人のおじさんが追跡の目印を見つけてね,それでリュフュスのパパが助け出したってわけさ.(p.471)
木の上で見つけてもらうのを待ち続けていたんじゃ,寒かったでしょうね.せっかくみんなにアメリカン・インディアン遊びを提供したというのに,これじゃ甲斐なしです.
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