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『「プチ・ニコラ」大全』(70)

  • 執筆者の写真: Yasushi Noro
    Yasushi Noro
  • 9月30日
  • 読了時間: 4分

Aymar du Chatenet, La Grande histoire du Petit Nicolas Les Archives inédites de Goscinny et Sempé, IMAV éditions, 2022, p.252-256.

『大全』巻末

『プチ・ニコラ』関連年表 .........................252

あれから彼らは・・・ .........................253

『プチ・ニコラ』書誌 .........................254

謝辞 .........................255


『大全』もいよいよ大詰め.前回で全8章の紹介が終わりましたので,今回はそれ以降最後まで.それにしても,読了したらどうしようか,未だ悩んでいるのですが,一つの選択肢として,『大全』のブログ紹介では省略した冒頭部分に戻ってもよいかと.本ブログはあくまで『プチ・ニコラ』の紹介のために,『大全』の情報を提供していたので,冒頭の二人の作者の伝記は省略して,p. 67「『プチ・ニコラ』,最初の一歩」から始めていました.ですから,少し脱線ということになりますが,二人の生い立ちから紹介してもよいかもしれません.も少し悩んでみます.


 ともかくも,『プチ・ニコラ』関連情報を終わらせるということで,今回はp. 252から見てゆきましょう.


p. 252 「『プチ・ニコラ』関連年表」(Chronologie d'une œuvre)

 題名から分かるように,と書きたいところですが,ほんのちょっと奇妙な年表です.なぜかというと,作者の誕生から始まり,幼少時代の出来事があり,二人の出会い,『プチ・ニコラ』の連載開始,単行本化,サンペの最初のアルバムの出版,テレビへの出演・・・つまり,作者の生涯の出来事と,『プチ・ニコラ』に直接関連した出来事(連載,受賞,出版など)が混ざっているのです.

 年表の3/5あたりにゴシニの没年(1977年11月5日)が置かれ,その次の年号は何と2004年の『未刊行集』の出版にまでとびます.だからやっぱり,『プチ・ニコラ』関連年表何ですがね.

 ともかく1ページ全体に,ナクヨウグイスヘイアンキョウ的な年号と出来事が羅列されています.締めくくりは,アンヌさんとサンペの(2022年時点での)最新情報です.


「アンヌ・ゴシニはイマヴ社を運営しつつ,『プチ・ニコラ』の翻案に関わっている.

サンペはパリはモンパルナスのアトリエで生活し,仕事を続けている.」(p. 252)



p. 253 「あれから彼らは」(Que sont-ils devenus ?)

 ここは読みどころ.大変面白い!ゴシニは1976年(死の前年)に,クロード-ジャン・フィリップというジャーナリストの質問に答えて,登場人物たちのその後について,面白半分で想像してみたようです.「ニコラと仲間たちは,学校の時のまんまとなるだろう.」とのことです.


ニコラ

「私〔ゴシニ〕は,ニコラが弁護士になっていると思いたい.んんん?!・・・っとお思いでしょうが.いずれにせよニコラは,パパと同じように優しい人になりました.子どもは二人,男の子と女の子です.」


アルセスト

「太っちょで年中何かもぐもぐしているアルセストは,お肉やさんか惣菜屋さんになりました.」


ジョフロワ

「とってもお金持ちのパパがいたジョフロワは(パパは相変わらずです),プリンストン大学に留学し,広告会社ですっごくいいポストをもらう.パパの顧客を引き継いだのは言わずもがな.」


ウード

「友だちの鼻にパンチをくらわしていたあの大柄なやつは,体育の先生になった.」


クロテール

「あの劣等生は商売で見事大成功!」


リュフュス

「お巡りさんの息子だったリュフュスはパパと大ゲンカしてしまう.原因はリュフュスがデモばかりしていたから.でも後から素行を改め,結婚して,今はちゃんと働いている.」


アニャン

「クラスでトップだったアニャンはパリの国民商工銀行(BNCI, Banque nationale pour le commerce et l'industrie)の副店長になりました.今はクレルモン−フェラン支店の支店長への任命が検討されています.」


「学校の時のまんま」・・・でもなさそうですがね.特にクロテール.あのクロテールに商才があったとは!

 ついでながら,フランス人は「劣等生」(cancre)を描くときには,学校ではダメダメだったけど,社会に出たら大成功した,という図式が好きなようです.フランスの知識人層が一生涯,出身校である「エコル・ノルマル出身」,なんなら「ユルム卒」(Ulm)っていっつも肩書きにひっつけて歩いている一方で,学業ができなかった落ちこぼれが社会では大成功の大儲けって物語をよく作ります(『ザ・カンニング IQ=0』が典型かしら).学校社会やエリートを尊敬する一方で,学業の意味を相対化して,遊ぶとかなかまと知り合うとか,学校の別の機能の大切さを説く.一部の超エリートと,そうでない人たちの日常の生活のどちらも特別視しないバランスの良さは,フランスが培ってきた美徳のような気がして好きです.



p. 254 「選択的書誌」(Bibliographie sélective)

 つまり,本書『大全』を書くのに参照した本や映像の一覧です.ゴシニやサンペのインタビューや伝記,『プチ・ニコラ』関連書などが記されています.研究書,というほど大袈裟なものは未だないようです.ゴシニやサンペに関しても,本格的な伝記や研究書がいつかきっと書かれる/描かれることでしょう.



p. 255 「謝辞」(remerciements)

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