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執筆者の写真Yasushi Noro

研究会のお知らせ

更新日:2022年3月14日

2021年度最後の研究会を以下の日程で開催します.今回はzoomを用いたオンライン会議となりますので,参加希望の方は「連絡」からお申し込みください.後日,MTアドレスをお届けします.


2021年3月17日(木) 2021年度第五回文芸事象の歴史研究会(zoom)


田村知也「ミラン・クンデラの「評価」と「価値」 」

概要

 本発表では、殊にフランスにおけるミラン・クンデラの「評価」または「価値」の問題をめぐって、以下の2点について論ずる。

 まず1つ目に政治的文脈によるクンデラの受容の問題である。作家がフランスへと紹介された当時、その著作は政治的な文脈に位置付けられ受容された。これはサルトルやアラゴン、アントニン・リーム等の言説に多く影響されたものであった。この点について雑誌記事や書評の論調、当時の出版状況を参照しながら、なぜ作家がそのような文脈で読まれていくことになったのかを確認する。もちろんこの受容の方向性に対して作家がいかに抵抗していたのか、あるいはそれを利用していたのかについても検討するが、特にここではクンデラを取り巻く言説に分析の力点を置くことで、いかに作家の評価が推移していったかを検討したい。 フランスで初めて発表された作品である短編「誰も笑わない」(1964)、政治的文脈からの読解を招いた大きな要因である『冗談』(1968)を大きく取り扱うことから始め、特に『存在の耐えられない軽さ』(1984)までの著作を考察の対象とする。

 2つ目として、クンデラが主にエッセイの中でいかに自己を価値付け、権威化しているのかについて検討する。作家は自身の著作を「世界文学」のコンテストに位置づけ、自作に普遍性を付与させる。この時クンデラが言及する「中欧」や「ヨーロッパ」、あるいは「大きなコンテクスト」という概念について考察し、その権威化の身振りを検討する。



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